日銀は株に投資するのではなく、人間に投資せよ!
公的マネー日銀主導で株高演出
朝日新聞記事2020年10月23日の記事より考えたこと
https://www.asahi.com/articles/ASNBQ777SNB9ULZU00W.html
日銀黒田東彦総裁がアベノミクスの8年間にやってきたことというのはなんであろうか。
それは、毎年6兆円のお金を使って、日本株に投資する上場投資信託(ETF:Exchange Traded Fund の略:
ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種で、証券会社に口座を開けば、株式同様手軽に売買できる。)を購入し、株高を演出してきたことである。
今年3月には、最大年に12兆円に倍増させるという。日銀の保有残高(時価ベース)は3月末時点で28兆円強となったという。
朝日新聞の記事には、この8年間で、株トレーダーのテスタさんという人の一獲千金の話がでていた。その記事によると、この8年間でアルバイトで貯めた300万円を元手に40億円を稼いだという。このように、黒田総裁は、アベノミクスの8年間、紙幣を刷って株を買い、株を買えるお金持ちや企業を優遇してきたということだ。その結果どうなったか?8年間かけても、2%の物価上昇を達成できなかった。お金を市場にじゃぶじゃぶ流すだけでは、経済が良くならない、2%の物価上昇は達成できなかったということだ。
日銀がETFを購入する原資は何か。
ところで、この日銀がETFを購入する原資は何だろうか。この答えは、Yahooの知恵袋に出ている。
問い:日銀のETF購入の原資ってどこから出てきてるんでしょうか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14158620939
回答:
私の理解では、日銀は信託銀行を経由して、信託銀行に株式市場からETFを買わせます。信託銀行は購入したETFを日銀に引き渡し、代金は日銀にある自行の口座に日銀当座預金として入ります。日銀にとってはこの取引でバランスシートの片側にETFが増え、反対側にその額の日銀当座預金が増えて、バランスします。
信託銀行も一旦建て替えたETF代金は日銀当座預金で充当され、それは他の銀行との取引に使えます。
それでは、増えた日銀当座預金はどこから来たのか?
国が出したわけでなく、国民が出したのでもなく、「誰も懐を痛めていません」。
文字どおり、架空から出てきたお金です。これを通貨発行益といいます。
このようにして日銀には日銀当座預金が300兆円も貯まっており、黒田さんはさらに毎年80兆円以上づつ増やすと言っています。
このほとんどはETFではなく国債を購入することで貯まったものです。
このように日銀に国債と日銀当座預金が超大量に貯まることは異常事態であり、今後どのようになるか皆が心配しているところです。
他の人が言っているように日本銀行券の製造元ですので悪い言い方で言えば無限に作れるんですけど、無限に作って流通させるとブラジルや韓国のように超インフレになるので、そこを流通量というものを考えて公定歩合を含めてコントロールするんです。それが日銀の仕事の1つです。流通量を変えないで行なう場合は日銀の市中銀行からの預入金を借入する形で使えば良いですよね。でもそれだと見せかけのインフレにしかならないはず。
下記の日銀の貸借対照表を見ると分かり易いかと思います。
http://www.boj.or.jp/about/account/data/zai1511a.pdf
2015年9月末
負債を見ると、発行銀行券 91,561,753,811,850(円)とありますが、これは1万円札とか千円札とかの日本銀行券のことです。
他にも一般の銀行が日銀に預金しているお金が250兆円近くあることが分かるかと思います。こういったので集まった資金で買っています。
一般の銀行が預金や社債、借りたお金で、個人や企業へお金を貸したり債券や株を買うのと似ています。日銀は社債とかではなく、自分でお札を発行して買えるところが一番違うところですけど。
なぜ2%の物価上昇を達成できなかったのか?
黒田総裁は、アベノミクスの8年間、2%の物価上昇の目標を達成できなかった。
ではどうすべきだったのか?
それは、消費者が商品を買う力がないために、商品の値段を下げないと売れず、ために物価が上がらないのである。
消費者が安心して、商品を買う、旅行に出ることができるようにすれば、物価は上がり、経済も上向いてくる。
この根本のことをしないで、ただお金をばらまいただけでは、お金持ちがさらに肥え太るだけ。また、
国の借金である国債を購入することで、ダム等のコンクリートによる自然破壊に手を貸しただけである。
消費者者、市民の購買力を向上させないならば、今後も2%の物価上昇の目標は達成できないだろう。
消費者の購買力を復活させるにはどうすれば良いか。
消費者の待遇をよくすることだ。安心して旅行に出られる。結婚できる。安心して子作りができる。
そういう環境を、政府と相談しながら進めていくことが必要だったのだ。総裁はそのことを理解されておられるのか。
いま最大の日本を覆う闇は、非正規社員が勤労者の半数近くを占めていることだ。
なんと、仕事探しのプロ、失業者に仕事を探すハローワークの公務員もその職員の半数は1年契約の期間業務職員という非正規社員なのだ。
ハローワークに勤めている知人を知っているが、毎年の年度末、継続があるかどうかの査定があり、国の予算がつかなければ、次の職場を探さなければならないという。これでは、旅行やマンションや車を購入したり、結婚式をあげたりといった高い買い物は無理というものだ。筆者が若い頃は、仕事に就けば、それは正社員しかなかった。そういう社会に戻すべきだ。時給も千円ではそこそこの生活しかできない。最低賃金も1,500円以上に上げるべきだ。時給1,500円で手取りやっと月給20万円となる。この金額では、地方の小規模会社がつぶれると主張する方がおられるが、輸入品の値段も含めて皆が同じ土俵に立てば、困ることはないし、消費者の購買力の上昇でむしろ恩恵を受けると主張したい。
自治労によると、国家公務員は正規職員26.5万人余に対して非常勤職員は7.8万人余りで、常勤職員との合計34.4万人に対する非正規率は22.7%となっている。
地方公務員では、総務省が調査を初めて行った2005年には全国で45.5万人だった地方自治体の臨時・非常勤職員は、2016年には64.3万人と11年間で18.7万人・41.1%も増加しているという。国家公務員と地方公務員の非常勤職員の合計数は72.1万人。
仮に、1ヶ月間の勤務日数を20日間とし、非常勤職員に時給1,000円から1,500円に引き上げるのに年間必要な資金は、500円×20日×8時間×12ヶ月×72.1万人≒わずか7千億円。菅総理大臣は、まず公務員の待遇改善に動くべきだ。
日銀への提案
株に投資して金持ちを優遇するのではなく、人間に投資して経済を立て直せ!
株に投資して金持ちを優遇するのではなく、人間に投資して経済を立て直すという方法を提案したい。
つまり、生まれた子供一人に対して、毎月5万円を配布するという、今はやりのベーシックインカム(最低所得補償)の考え方である。
総務省統計局によると、2020年4月1日現在の子どもの数(15歳未満人口)は、前年より20万人減少し1,512万人で、1982年から39年連続の減少となり、過去最少となったという。仮に、ETF株の購入を止めて、代わりに、子供が生まれた世帯に毎月5万円を支給した場合、それにかかる費用は、1,512万人×5万円×12ヶ月≒9兆円だ。
子供に投資してどんな効果があるか?
インフラ投資ならば、鉄やコンクリート、土木業者に勤める勤労者にだけ恩恵が渡る。
しかし、子供一人に投資すれば、親が服を買うだろうし、食べ物も買うし、学校にも行かせる。大人になれば、会社に勤めて、映画も見るし、旅行にも行く。そもそも国に税金を支払ってくれるし年金も支払ってくれる。
こうしてみると、お金持ちだけが儲かる上場投資信託ETFに投資するよりも、また国債を発行してダム等のインフラに投資して自然破壊に片棒を担ぐよりも幅広い経済に福をもたらすのが分かるだろう。経済を立て直してくれるのだ。年金財政を、税金収入を立て直してくれるのだ。日銀は、金融政策だけを行う省庁から、国の基本を築く省庁に生まれ変わることが必要だと筆者は主張する。少なくとも、株に投資するよりも、国の基を築く人間に投資する省庁に脱皮すべきと考えるがいかに?