かつて日本一美しい漁村」とも呼ばれた宮城県石巻市雄勝町(おかつまち)。ホタテやウニなど海の幸が豊かで、山と海が織りなす独特の景観は地元の誇りだった。」いま、全長3㎞、ビル2階分に相当する9.7mの高さの防潮堤の建設が続く。東日本大震災の結果、こんな途方もない堤防ができた。100年に1度の大震災・大津波に備えるという。しかし、疑問点はいくつも挙げることができる。1.100年に1度の大津波に備えるとしても、 コンクリートはそんなに長持ちするのか。50年しか持たないというではないか。2.100年に1度の大津波に備えるために、高さ約10m、長さ3㎞に及ぶコンクリートは、100年もの間、美しい海辺の景観を台無しにする価値はあるのか?人命尊重というが、美しい景観を壊すよりも、大津波があったら逃げればいいじゃないか。逃げられないほどの短時間で押し寄せる大津波どありはしない。財産を守るためだという。それなら、津波が押し寄せるところに家を造るべきではないし、家を造れないよう、規制すべきではないか。3.なぜ、美しい自然を壊すような予算が通るのか?地元の政治家と土木・建築業者が、国土交通省や財務省と利権でくるんでいるのではないかと勘ぐりたくなる。そもそも、政治家や役人に自然を守る、自然の美しさをめでるという美意識がないのではないか?政治家も役人も忙し過ぎて、山に登ったり、釣りをしたり、子供と海辺で遊んだりという経験もないから、簡単に、安易に自然の海岸を破壊できるのだ。4.大学の土木工学に、自然保全科目を必修にして、1ヶ月でもいいから自然と戯れるような経験、山に登ったり、自然観察をしたり、釣りをしたり、バードウォッチングをしたり、星の観察会をしたりという経験を積ませるべきだ 。そうでもしないと、日本から本物の自然が無くなってしまうだろう。次に生まれてくる世代に、どう申し開きをするのか。自然はどこにあるの?海も川も、白いコンクリートばかりじゃないか、と聞かれて(下記の焼津の海岸の写真を見て欲しい)。5.コンクリートは、人命と財産を守るため。しかし、 反対に失うものがある。それは、美しい海辺の景観の他に、海と陸を行き来していた海辺の生物、ホタテやウニ、カキ、アサリ、海草が全滅する。砂浜に卵を産み付けるウミガメも来れない。6.コンクリートに替わって、家屋を海から離した所に建てる。大津波の勢いを減殺する防風林を植える。逃げるための道筋を整備するなどいくらでもある。
2021年02月06日
朝日新聞記事が川辺川ダム容認の世論を作った
11年前に、熊本県の蒲島郁夫知事は川辺川ダム中止を表明していた。しかし、今回の7月の豪雨で記録的な被害に直面した後の、10月6日に開かれた「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」での国交省九州地方整備局の「ダムがあれば浸水面積を6割減らすことができた」とする説明を受けてから、わずか1ヶ月半弱の11月21日には、知事と国土交通省の赤羽一嘉国交相との会談で、「貯留型」ダムを造る国の川辺川ダム計画を廃止したうえで、川の水を流しながら洪水時だけ水をためる流水型ダムを建設するよう国に求めたと言う。 このように、10月6日からわずか1ヶ月弱で、11年前のダム中止表明を翻(ひるがえ)すことになった背景には、10月6日開催「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」での国交省九州地方整備局の説明についての10月7日の朝日新聞等の記事が関係していると筆者は考える。
10月6日の記事は以下のように伝えている。
川辺川ダムで「人吉など浸水面積6割減」 知事「議論の中心に」熊本豪雨で国推計熊本県南部を中心とした7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨(くま)川の治水対策を巡り、国土交通省九州地方整備局(九地整)は10月6日、11年前に計画が中止された川辺川ダムが仮に建設されていた場合、人吉市中心部と隣の球磨村の一部の浸水面積を6割程度減少できたなどとする推計結果を公表した(以下 九地整 )。九地整によると、川辺川ダムが存在した場合、人吉市中心部での球磨川の最大流量約7,400トン(毎秒)を同約4,800トンまで約35%削減でき、市中心部と球磨村渡地区の浸水面積568.6ヘクタールを約6割減らすことができたとした。家屋の2階までの浸水が想定される深さ3メートルの範囲は同地域で約9割減少できたとも推計。水位は人吉市市街地で約1.9メートル、球磨村渡地区で約1.7メートル、八代市坂本地区で約1.2メートル低下させる効果があったとした。九地整は、ダム計画中止後に検討されてきたダム以外の治水策の効果も報告。遊水地の設置を中心に河道掘削などを組み合わせた対策では、人吉市中心部で最大流量を約25%削減できたと推計。工期は50年以上かかるとした。ダムの工期は言及しなかった。(伊藤秀樹、竹野内崇宏) ダム反対に立つ筆者から見ると、この記事はダムの効用ばかりを伝え、氾濫地区からの撤退や遊水地建設等のダム以外の効用をほとんど伝えていない。ダム賛成派に有利な記事になっていると指摘したい。 朝日新聞記事による、国土交通省の説明の要点は、ダムがあれば、人吉市中心部での球磨川の最大流量約7,400トン(毎秒)を同約4,800トンまで約35%削減でき、市中心部と球磨村渡地区の浸水面積568.6ヘクタールを約6割減らすことができたとし、ダム以外の遊水地等で25%削減できるとしている。しかし、ダム以外の遊水地等の対策では、浸水面積をどのくらい減らせたかを示していない。下記は、国土交通省の推計結果をまとめたものである。
人吉区間の浸水範囲の低減効果川辺川ダム :第1期(6/11~9/15) 約6割低減
:第2期(9/16~10/15) 約4割低減
遊水地等の対策を組み合わせた対策 約4割低減
放水路等の対策を組み合わせた対策 約6割低減
出典:国交省九州地方整備局第2回「球磨川豪雨検証委員会」
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