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執筆者の写真森川海守

夏の思い出 この夏、南房総の館山に行こう!

 今から60年前、筆者が小学生の頃、夏の臨海学校は千葉県房総半島の先端、南房総の館山だった。

 なんと、まだ蒸気機関車が走っていた時代である。東京から蒸気機関車で館山に行った。小学生の身でも、蒸気機関車は重々しくて格好良かった。海岸沿いに走り抜けていったが、それは小学1年生の時だけだったかもしれない。程なく、現在と同じ電車に代わった。今なら、特急さざなみで、新宿駅から乗り換えなし、わずか2時間ちょっとで館山に行ける。それにしても、当時、親から見捨てられ、預けられた孤児院のカトリックのサレジオ学園、夏の間、よく南房総に家一軒借りたものだ。小学1年から中学3年まで、総勢200名が、夏の間、入れ代わり立ち代わり館山に行った。小学低学年は、まだ夏休みに入る前で、広々とした木造の日本家屋の畳の上で、授業を受けた。高学年は、夏の間、2、3週間、毎日、海で遊んだ。宿舎は海まで歩いて10分もかからない所で、宿舎の周りの地面は白い砂である。時々赤い甲羅のカニが歩いていて、まさに海辺の臨海学校という雰囲気であった。


 当時の館山は、自然豊かな白い砂浜で、今も驚くのは、波が引くたび、たくさんの貝が顔を出し、容易に拾えたことである。砂を掘って貝を取るのではないのだ。波が引くたび、皆で拾って、味噌汁にして食べたが、こんな砂浜、日本全国で経験したことがない。今の館山はどうだろうか。どうにかして行きたいものだと思っている。トビウオも目の前でピョンピョン跳ねていた。時々、漁師さんが地引き網をしていることがあり、よく手伝って綱を引いたものだ。こういうときは、網からこぼれた子魚が目の前でいっぱい泳いでいたものだ。

 泳ぎは見よう見まね、誰からも教わらず、足をばたつかせてすぐに泳ぎを覚えた。目を開けて潜水もした。波が荒くても、雨が降っても泳いだものだ。現在小学4年の息子は、水泳スクールに行って泳ぎを習っている。隔世の感がある。泳ぎって、習って泳ぐものか。

 夜は、星を見に海岸に行った。砂浜では、波がざざーっと押し寄せるたび、夜光虫がきらきら光った。夜光虫はどこにでもいるから、海に行ったら、夜の砂浜に出掛けてみよう。

 宿舎の近くには大きな川もあり、泳ぎに飽きた子供は、先生が釣りに連れ行ってくれた。竿は竹や棒である。餌は牡蠣を拾って石で割り、中身を取り出して使った。なんとウナギが釣れたこともある。岸辺から、ウナギが見え、餌を口元に落とし込んだら釣れたのだ。ウナギは、その日の夕方、先生方の胃袋に収まった。

 館山のお祭りの時は、歩いて10分ほどのところの、沖に突き出た木の桟橋に出掛けたが、木の板と板の間にすき間があり、こわごわ歩いたものだ。こういうときも、上から魚が見え、餌を垂らして魚を釣った。見える魚は釣れないと言われるが、実際は逆なのだ。


 館山には冒険できる無人島の沖ノ島(今は公園になっており、本土からは砂浜の道でつながっている)もあった。宿舎から歩いて1時間、キャンプを張って飯盒炊爨(はんごうすいさん)、飯盒でご飯を作って食べたりもした。キャンプを張るときにすぐにしなくてはならないことは、トイレである。穴を掘り、回りを草木で覆ってトイレを作るのだ。これは先生方が行なった。しかし、当時なら問題ないが、いまはこんなこと、できるだろうか。

筆者が好きだったのは、野外ミサである。サレジオ学園はカトリックなので、こういう時は野外でミサを行う。野外で、聖歌を歌い祈るのだ。風が体の中を通り抜け、蝉がみんみんと鳴く。こんな自然の中で行う野外ミサが好きなのだ。


 沖ノ島の回りは岩場で、色とりどりの貝や魚がいた。当時は気が付かなかったが、インターネット検索をかけると、サンゴもいると言う。磯遊びができる小さな無人島である。是非行って見たいものだ。磯遊びでは、箱めがねがあると重宝する。貝をこじ開ける小道具も欲しい。フジツボやそこらにいる貝も美味しい出汁が取れる。「海遊びの極意」西野弘著、つり人社発行、によると、ヤドカリやカメノテ、ヒザラガイのたぐいも美味しいと言う。筆者の記憶によると、60年前の沖ノ島は陸でつながっていなかったと記憶している。泳いで島に渡った記憶がある。

なお、現在の館山は駅舎を中心に南ヨーロッパ風の建物で統一され「リゾートタウン館山」を演出している。


館山までのアクセス:東京アクアラインができたので館山までは容易である。

1.横浜駅~館山 高速バス 片道料金 2,600円 1時間50分

2.新宿駅~館山 特急さざなみ (土・日)7:50発~10:06着 2時間16分 片道4,200円

館山 沖ノ島公園 写真で見ると、島は砂浜の道でつながっている。現在はコロナ対策もあり、車の進入禁止があり得る。

 沖ノ島は北限域のサンゴの生息地とも言われ、アマモなどの藻場が形成され、色鮮やかな小魚が住む豊かな生態系を有しています。島は南房総国定公園の第1種特別地域に指定され、海岸植生豊かな極相林(極相:人の手が加えられておらず、自然に生い茂ること)が形づくられています。館山市の貴重な自然資源である沖ノ島を未来の子どもたちに引き継ぐために、賛同者からの協力金をお願いし、環境保全に役立てて行きます。」とあり、車1台1000円、一人1口500円の協力金が求められている。



引き潮の時だけ現れる小豆島の土床(とのしょう)港から余島(よしま)に伸びる砂の道エンジェルロード(天使の散歩道)やフランスのモンサンミッシェルも同じように、離れ小島が、砂の道でつながっている。


 引き潮の時だけ現れる小豆島の土床(とのしょう)港から余島(よしま)に伸びる砂の道エンジェルロード(天使の散歩道)

(2019.7森川撮影)




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