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捨てられたレジ袋の行方

執筆者の写真: 森川海守森川海守

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  2020年6月2日の朝日新聞夕刊に、珍しい深海魚の長さ1m前後のアカナマダが定置網に入っていたという。胃を開けてみたら、イカやカタクチイワシに交じって、薬やビデオの包装フィルムなどが出てきたという。こういう話はもう既に日常的な話になりつつあるのではないか。筆者は恐れるのだ。20年前、すでに海洋生物に誤飲・誤食を招いているプラスチックに警鐘を鳴らしていた「プラスチックの海」(1995年4月20日海洋工学研究所出版)が、「私たちがこのままプラスチックを大量に生産し続ければ、長い年月の後、どこの海で水をすくっても、小さな小さなプラスチックの粒(当時は、マイクロプラスチックという呼び名が定着していなかった)を見るようになるかもしれない」と予測していた。出版が1995年だから、2020年現在、すでに25年が経過した。残念ながら、その予測は、もう既にそこまで来ている。善良なる諸兄弟の皆さん、どこに行っても、マイクロプラスチックが海の表面のそこいら中に散らばっている世界を、我々の子供、孫の世代に引き継いでいきますか。子供が、孫が泳ぐと、体中にマイクロプラスチックがまとわりつく状態がもう手の届くところに来ている。レジ袋だけではない、生分解しないプラスチックを根絶しなくてはならない。 マイクロプラスチック問題では、高田秀重(東京農工大教授)先生や兼廣春之(東京海洋大学名誉教授)先生が有名である。高田先生によると、東京湾で釣ったカタクチイワシ64尾中49尾からマイクロプラスチックを検出している。今や、なんとあの小さな、目には見えない動物プランクトンの体内からもマイクロプラスチックが見付かっているというのだ。高田先生の調査によれば、東京湾運河部の場合、海面に浮いているものが、1平方m当たり5個に比べて、海底の泥の中には、大量のマイクロプラスチック(300,000個/m2)が堆積していると言う。  また、環境省の平成30年度海洋ごみ調査の結果によれば、沿岸海域(東京湾、伊勢湾、大阪湾及び別府湾)計20地点において、ニューストンネット(表層を浮遊するプランクトン等の採集に用いるネット)を用いてマイクロプラスチックを採集し、個数を計測した結果では、マイクロプラスチックの海中密度は、東京湾湾口部及び湾央部計4地点で4.69~65.6個/㎥、伊勢湾・湾央部1地点で3.63個/㎥、これら5地点を除く15地点では、0.02~1.37個/㎥であったという。既に20地点の海域で平均、1㎥当たり約1個、多いところでは、1㎥当たり5個見付かっている。なお、東京湾において高い濃度を示した調査地点(65.6個/㎥)については、調査船が採集の際に、漂流ごみが集積している潮目を通過したことに起因すると考えられると言う。 

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