top of page
041.JPG

森川海守の洗剤節約術

執筆者の写真: 森川海守森川海守

 今から30年前、筆者は長崎で社会科教師をしていた。陸上部の監督もしていたが、夏休みは、練習が終われば後は自由時間である。そこで、夏休みは、我々が出したごみや、また排泄物はどのように処理されるのか、疑問に思っていたことを調べる時間として使った。調べ方では、まず必要な本を買い、読んだ後は、処理現場を見に行き、関係者に取材するという形を取った。そうして調べた結果を論文にして学校の紀要に載せた。良くしたもので、夏休みは平日動けるので、自由に取材ができる。こうして、下水道の処理現場、特に処理した後の放流水を海に流す現場を見学したら、驚くべき現場を見て、衝撃を受けたのだ。まず、下水道の最終段階では、処理水に交じっている活性汚泥(微生物の塊)の茶色いふわふわした処理物を沈下させるのだが(沈下した物は再度、下水を処理する現場に運ばれる)、沈下しないまま、塩素で殺菌後、そのまま海に流している現場であった。処理水が流れ込む海を見ると、大量のボラがひしめき合いながら活性汚泥を食べていた。以来、筆者は、ボラが釣れても逃がすようにしている。次なる衝撃シーンは、大量の処理水が泡を伴いながら海へと流れ込んでいる様だった。泡の正体は合成洗剤である。下水処理場では、微生物が下水を分解させるが、合成洗剤は処理できないのだ。実は、合成洗剤は泡が出易い。特に段差があると泡が出やすい。下水道では、放流口と海面との間に段差があるために、泡が出てしまう。そこで、泡が外に広がらないようにと、オイルフェンスの浮きが放流口を囲っている。そういう状態でのボラのひしめき合いなのだ。最後の清流と言われる四国の四万十川(しまんとがわ)で、カヌーに乗って川下りをしたことがある。そこでは、のどが渇けば、川の水を飲めるが、河口まで降りてくると、川岸の淵などに泡が漂っているのを見る。自然の泡も含むが、これは人が洗濯で流した合成洗剤であろう。最後の清流四万十川でさえこうなのだ。これやそれやで、我が家では、合成洗剤は使わない。生協の一つ福祉クラブが届けてくれるシャボン玉石けん(https://www.shabon.com/message/index.html)の自然界で分解できる石けん洗剤を使用している。


合成洗剤(合成界面活性剤)の害

 石けんは天然油脂を原料とし、合成洗剤は石油を原料としている。合成洗剤は洗う力は強いが、生分解するのが難しく、下水道では厄介者である。浄水場でも完全には取り除けず、我々の口の中に入り込んでくる。自然界、川や海では、非意図的に生成されるダイオキシンや製造使用が禁止されてもいまだに自然界に存在している意図的生成物のDDTやPCBが溶け込んでいる。これらは、環境中では難分解で、生物体内に蓄積しやすく、地球上で長距離を移動して、南極・北極でも検出され、環境中に排出されると私達の体に有害な影響を及ぼすおそれがある物質として、26物質が残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)としてストックホルム(POPs)条約で厳しく規制されているが、これらを川や海に溶け込ませているのは実は難分解性の合成洗剤なのだ。特に厄介なのは直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(LAS)である。洗剤類の製品名を確認したい。害については、例えば横浜市のホームページには以下のような記述がある。「家庭用の洗剤には、陰イオン界面活性剤の一種であるLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)が多く使われています。川や池の水に含まれるLASが魚にどのような影響を与えるか、という点については、これまで多くの研究が行われてきました。その結果、水中のLAS濃度が1リットル中に数ミリグラムに達すると魚は死んでしまうことや、その10分の1ぐらいの濃度で成長が阻害されることがわかってきました。洗濯するときの濃度は、普通、1リットル中に数百ミリグラムぐらいですから、魚が住めるためには100分の1から1000分の1くらいにする必要があります。」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kasen-gesuido/gesuido/gesuidofaq/suishitsu/013.html


森川海守の食器の洗い方・洗剤節約術

 我が家は、夫婦で役割が決まっていない。手が空いた人が洗濯を担当し、食器を洗い、調理をする。しかし、揚げ物は別である。何を隠そう、筆者は揚げ物が得意で、唐揚げ、てんぷら、コロッケ、春巻きを作る担当なのだ。筆者が食器を洗うときは、一般には洗剤は使わない。水だけで洗う。水こそが洗剤なのだ。水には、じゅっと物に染み込む力が強く汚れを浮き上がらせる。それを、自然素材のヤシの棕櫚(しゅろ)でできたたわしで洗い落とすのである。カレーで汚れた皿や鍋も、ある程度、スプーンや紙等でカレーを落とした後は水に漬け込んでおく。卵を調理したりするときも、卵が鉄鍋にこびりつくが、スチールたわしで無理に洗わず、しばらく水に漬け込んでおく。しばらくすると、カレー部分や卵がこそげ落ちる。そこでたわしで洗うのだ。洗剤は不要である。しかし、豚肉料理をした後は厄介である。たわしに洗剤をつけて無理に洗っても落ちない。べたっと、たわしに油がこびりつく。そういう時は、熱いお湯をたわしと汚れた食器にそそぐといい。油が溶けて、食器、たわしから出てゆき、べたつきがなくなる。その後、石けん洗剤を使えば、きれいに洗える。洗剤を使うのはこの時だけである。お試しあれ。

最新記事

すべて表示

あなたは信じますか?神様から直接人間に呼び掛けることがあることを。   聖アウグスティヌスの場合

聖 アウグスティヌスは、カトリック教会で最も重要な哲学者、神学者の一人で、西暦313年にローマのコンスタンチヌス大帝によって、カトリックが公認された後の世界で、マニ教をはじめとした異端との戦いや三位一体といったカトリックの教義に重要な役割を果たした聖人であるが、実は、青年の...

Comments


bottom of page