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河川清掃経験者が語る、海洋に漂うごみはどうやって拾う?


 森川海守(舟木)は、1年半に渡って、河川に浮遊するごみを拾う河川清掃業務についた経験がある。その経験から、海洋に漂うごみは、ごみが海に出る前に、沿岸国の責任で、河川を流れている間に、岸部に作ったごみトラップで集めて、拾い上げるのが一番効率が良いと言っておきたい。アメリカの一青年が作ったNPOの「オーシャン・クリーンアップ」は、海上に全長2㎞の巨大なV字型の浮きで漂流ごみを集めて船で回収する実証設備を対馬沖に設置してごみを拾い集めているという。これも一つの方法だが、ごみが発生するのは河川であるから、海に出て拡散する前に拾い集めるのが効率が良いし、ごみが発生する沿岸国、沿岸の自治体の責任でもある。


河川浮遊ごみの特徴

 河川を流れているごみの特徴は、上げ潮時に岸辺に溜まっているごみが上流に流れる川の流れで押し流されるうえに、さらに上げ潮時には、下流に滞留していたごみが上流に上ってくるため、満潮前後にごみが多いというのが一つの特徴である。また、船の通行による波で、ごみは岸辺に寄ってくるため、ごみは岸壁に沿って流れて来るというのが二つ目の特徴である。そこで、岸辺にごみトラップをつくって、自動でごみを拾い上げてごみ箱に流し入れられる機械を考案すれば効率が良い。国土省や東京都等の自治体で考案して、沿岸国、沿岸の自治体の責任で設置すべきである。東京都の河川清掃船では、岸部のごみを拾い上げるのが難しい。岸辺は浅い所が多く、船が近づけられないためである。船を改良し、伸縮自在の腕を伸ばせば、流れて来るごみをコンベアーに流し込む機械ができれば好都合である。これも考案して欲しい。岸辺に貯まっているごみも、満潮の時や洪水、ダムの開放等で、岸部からまた川に流れ込む。岸辺に貯まっているごみも、岸部から拾い上げて欲しい。河川清掃は、河川に浮遊するごみを河川清掃船で拾い上げるのと、岸部に滞留するごみを、岸部から拾い上げるという、河川と岸部の二方向からごみを拾い上げるのが良い。東京都は、川面を流れるごみを河川清掃船で拾い上げるだけではなく、岸部に滞留するごみを拾い上げる別動隊、さらには、河川へのボートや自転車、家電、ベット等の不法投棄を取り締まる別動隊の3部隊を作って欲しいと願う。同年齢の小池百合子知事殿に、是非にとお願いする。


 筆者は、経済的な理由と河川・海岸のプラスチック散乱の動態を調査したく、東京都建設局(工事課と略称)から委託された(公財)東京都環境公社(環境公社と略称)が行っている河川清掃業務(さらに民間に委託)に従事する機会を得たので、河川浮遊ごみ、特にプラスチックの動態とその散乱対策について述べたい。


河川水面清掃業務の概要

 東京都が管理している63河川、約494・82㎞の内、環境公社の清掃船が就航できる30河川、約107㎞について、河川清掃が実施され、厩橋分室と潮見分室を基地として、日曜日を除く月曜から土曜、祝日も休みなく毎日実施されている。船としては、浮遊ごみを、回転するコンベアーで船の中央部のごみ置き場(二の間)に運び込むコンベアー船が8隻、コンベアーのない手作業船が2隻、小型ボートが2隻、ごみ運搬船が1隻ある。




 作業者は右舷と左舷の二手から、長さ約3m弱の柄のついた、外径32㎝のたも網でごみを拾い上げ、コンベアー上か二の間に入れる。網目は直径約3㎝でタバコのフィルターは拾えない。ごみは中央防波堤ごみ揚陸場でパッカー車に積み換えられ、重量計測後、野外のごみ選別場で手作業で可燃と不燃に選別、前者は焼却、後者は不燃ごみ処理センターで処理される。


 浮遊ごみのデータは、自然物・人工物混在で重量のみ毎日計測されているが、人工物の組成を調査し、どのようなごみが多いかを調べ、どのようにしたら川への流入を減らせるか調べるべきだが(表)、筆者の提案は却下された。「隅田川上流や中川、旧中川などの大河川は、流木・草等が主体でごみ量が比較的多く、神田川や日本橋川などの都市内河川は、コンビニで売っているような生活ごみ主体で、ごみ量は比較して少なめ」である(都第一建設局HP)。梅雨や台風シーズンの6〜10月にごみが多く、7年間で浮遊ごみは約3割減っている。


 自然物を除けば、浮遊ごみのほとんどはプラスチック使い捨て容器包装である。大小のPETボトル、栄養ドリンクびん(リターナブルのビールびんは流れていない)。飲料缶、スプレー缶、使い捨てライター、レジ袋や透明袋、粘度のある飲み物を入れるバウチ。小さい物では、タバコの吸い殻・フィルター、ペットボトルの蓋、お菓子を一個一個詰めたプラスチック個包装。苗木用の黒いプラスチックのポットも相当数流れて来る。


 厄介なのは、発泡スチロールのトレイや皿、カップブードルのカップ類である。風に飛ばされやすく、細かくなって拾うのが大変である。レジ袋や透明袋などは、流れて来る間に水よりも重くなって水中を漂うため、見付けて拾い上げるのは容易ではない。コンビニエンスストア店で購入したプラスチック弁当ケースが入ったレジ袋の不法投棄も多い。


 筆者が特に危惧するのは、発泡スチロールである。ポリスチレンの粒に蒸気で加熱して膨らませ、膨らませた粒と粒が熱でくっついたものなので、使い続けると、ボロボロと落ちやすいし、生分解できないので、環境には甚だ良くない。製造・販売・使用を禁止すべきである。


 多くの人が訪れる浜離宮が、築地市場から流れ出た発泡スチロールのトロ箱で美しい景観が破壊されている。コンビニエンスストア店が無料配布しているレジ袋や、カップヌードル容器が川面から海へと流れ、環境を汚染している。これらは自然界では分解せず、劣化、崩壊してマイクロプラスチック(微粒子と略称)になっているという。驚くべきことに、海中のプランクトンがそれを誤飲し、それを小魚が食べ、さらに大型の魚が食べるという食物連鎖の中で、微粒子が人間の口にまで入り込む事態にいたっている。洗顔剤などに入れられているビーズや衣服などの化学合成繊維もその1つで、いままでの生活を全面的に見直さなくてはいけない事態である。厄介なのは、製造禁止したPCBやDDTといった化学物質が同じ石油系のためこの微粒子に付着し易くなっており、食物連鎖を通じて、人間にまで高濃度汚染される事態になってきている。


 内外から年間約70万人が訪れる浜離宮の水辺には、築地市場から風で飛ばされたと思われる発泡スチロールで、水辺の景観が破壊されている。小池都知事に生分解のトロ箱に換えるよう切にお願いする。


 隅田川や中川、綾瀬川などの上流では、ホームレスが投げ捨てたと思われるおしっこが入ったPETボトルや、ふとん、ブルーシートなどのごみが多くなってくる。コンドームも多い。雨水も受け入れる合流式下水道は雨水が多くなってくると、生下水が溢れて川に流入するため、トイレに投げ捨てられたコンドームが川に流れてくるのではないかと推測する。河川工事や道路工事等に使った大きな丸太の杭や1、2m四方のベニヤ板、道路の標識などに使う赤色の三角ロードコーン(破片も多く浮遊)も多い。すりが金目の物を抜き取った後、川に投げ捨てたと思われる中身の入ったカバン、夜中に投げ込まれた大きなソファ、大小のタイヤ、冷蔵庫、テレビ、石油ストーブのカートリッジタンク、消火器、中身が残っている石油缶やドラム缶、紙おむつでいっぱいの大きなごみ袋などが流れて来る。家電や消火器、カートリッジのように、河口付近で、再度川に流した物もある。


 工事課では、水面に浮いている物ならすべて拾うようにと指示しているが、徹底されていない。家電法の制定で、自治体も、不法投棄家電を、指定引き取り場所に運んで家電リサイクル券を購入しなければならない。

家電製品協会からの助成金は少なく、浮遊家電の拾得は難しい。


 犬やネコ、カラスなどの動物の死骸や、大雨の時は、下水管に住み着いているねずみが流れて来る。これらは、拾うように指示されているが、すべてを拾うのは難しく、特に大型犬などは水を含んで重い上に、腐っているために崩れやすく、臭いこともあって、指示通りに拾わないケースも出てくる。いずれも、生分解するから、拾うのが難しい場合は、件数だけでも報告するようにしてはどうか。また、1m近い大型も含め、相当な数の死魚が流れてくる。ご遺体も、勤めていた1年半の間に2遺体が流されてきて警察に通報された。


河川浮遊ごみの特徴

 水は、上げ潮時に岸辺に溜まっているごみを拾い集め、さらに下流に滞留していたごみが上げ潮時に上流に上ってくるため、満潮前後にごみが多い。またごみは岸壁に沿って流れて来る。船の通行による波で、岸辺に寄ってくるからである。しかし、岸辺は浅い所が多く、船が近づけられない。船を改良し、伸縮自在の腕を伸ばせば、流れて来るごみをコンベアーに流し込む機械ができれば好

都合である。岸辺にもごみトラップをつくって、自動でごみを拾い上げてごみ箱に流し入れられる機械を考案して欲しい。


 海では、NPOの「オーシャン・クリーンアップ」が、海上に全長2㎞の巨大なV字型の浮きで漂流ごみを集めて船で回収する実証設備を対馬沖に設置するという。しかし海よりも川で捕捉する方が効率も効果も高い。ごみが川から海に流れ込まないようにするのは沿岸国の責任でもある。廃船・廃棄自転車の不法投棄も多い。これらは浮いていないため、回収されない。不法投棄の誘発を防ぐためにも、直ぐに片づけ、犯人を探し責任を追及すべきである。また不法投棄者の捨て得にならないよう、職員による指導も必要である。


 清掃業務は危険と隣り合わせで、筆者は二の間に落ちたり、小型ボートから落ちたりした。退職後の半年の間に事故が4件、1件は4本の指を切断する大事故であった。その様な作業なのに、祭日休みはなく、手取り17万円で、昇給もない。遊覧船が行き交う川面にごみが浮いていれば興ざめしよう。河川清掃は無くてはならない。待遇改善は急務である。


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