筆者が小学生の頃、視力は1.5以上はあった。なぜ視力が良かったか。筆者には姉が3人いたのだが、父親の事業がうまくいかなくなったためか、離婚して家族はてんでんばらばらになってしまった。しかし、筆者を引き取った父親も、何を思ったか、筆者を一人アパートに取り残してとんずらしてしまったのだ。こうして、小学1年の頃、筆者は、まだ田園地帯が広がる国分寺にあった孤児院に保護された。ところが、この孤児院、とんでもなく広い孤児院で、小学1年から中学3年までたった200人しかいない所なのに、運動場は3面もあり、25mのプールも、豚小屋も鳥小屋も、畑もあった。なんと、熊が出ると恐れられた林までもが付属していたのだ。何でも自給自足できる荘園のような学園で、学校が終わったら外で遊びなさいと言われ、子供たちは、野球にサッカーにと遊び回っていた。顔をぐるっと見回せば、遮るものはなく、地平線までもが見えた。これでは、目が悪くなれといったって悪くなるような環境ではない。ところが、中学生になって受験を控え、薄暗い教室で参考書を読んでいたら、一遍に目が悪くなってしまった。健康診断で引っかかり、眼鏡を掛けよとなって現在に至ってしまった。
閑話休題、今から20年前、筆者はタイで4年間、シニア海外ボランティアとしてチェンマイとバンコクに近いノンタブリと言う所で、廃棄物処理の専門家として住み込んだことがある。生活してみて一番驚いたことは、眼鏡を掛けている人が皆無だったことだ。その理由としては、地平線が見えることだと筆者は考えている。チェンマイで、高層ビルがあったのは一棟のみ。後はすべて2階建てか平屋である。家の造りはどうか。良く日本人の家はウサギ小屋と言われるが、タイでは、天井が高く、家の中も日本家屋の2倍近く広い。近視になる理由はどこにもないのだ。以前、テレビ番組を見ていて面白い企画の番組を見たことがある。眼鏡を掛けたお笑い芸人2人がタイに住み、タイ人と同じように生活したら目が良くなるかどうかという企画である。海に近い所で、タイ人は夕方、海を眺めてぼーとしている。そこで、2週間、夕方海を眺めて帰国したら、なんと眼鏡がいらなくなってしまったという。下に、朝日新聞記事を掲載した。スマートフォンなどを長時間見る子供が増えて、裸眼視力が1未満の小学生の割合が約4割、中学生が約6割に上ることが判明したという記事である。特に、このコロナ下、巣ごもりの生活が影響して、視力が低下していると言う。うちの小学4年になる息子も、1日、ゲームだ、テレビだといっては、近い所を見る生活ばかりになっている。そこで、30分ゲームやったら、5分休んで外を見なさい。できるだけ外で遊びなさいとかみさんが指導している。現在視力が0.7で眼鏡生活になってしまうかどうか、風前の灯である。
そこで、ドライアイでもある筆者は、本屋で目が良くなる本を物色して購入してみた。お勧めする本は、「驚くほど目がよくなる!たった10秒の眼トレ」(日比野佐和子著、SB新書)と、「老眼をあきらめるな!」(足立和孝・有安正規著、健康人新書)の2冊である。色々、目が良くなる方法が紹介されているが、いま我が家で実践しているのは、2冊とも推薦しているホットタオルだけである。温めたタオルを、5分間目に当てるという方法である。日比野先生は次のように述べておられる。「視力が落ちる、スマホ老眼になる、目がしょぼしょぼして遠くも近くも見にくい。こんな目の悩みの多くは、毛様体筋の緊張からはじまります。毛様体筋を温めて、緩めてあげれば、目のトラブルの多くは解消できるのです。」
本当かどうか。最近、筆者はマスクでは眼鏡が邪魔だとして、通勤時は眼鏡を外す生活をしている。老眼になって、新聞を読むのも眼鏡を掛けている方が見づらいので、とうとう50年間掛け続けていた眼鏡を外す生活をしてみた。なんと、最近、バスの後部座席に座ったら、2m先の先頭車両に掲げられている行き先を告げる掲示板の文字が見えるのが分かった。実際、最近、健康診断があり、裸眼視力を測ってみたら、去年が眼鏡をかけて視力0.5だったのが、今回は裸眼視力が0.4なのだ。さすがにパソコンを見るのはつらいので、眼鏡を掛けているが、それ以外は眼鏡を外している。テレビを見るのも眼鏡なしである。そもそも、テレビは文字が大きいので、眼鏡は不要である。眼鏡なしの生活がこんなに便利だということが改めて分かる。汗を拭くときもわざわざ眼鏡を外して、顔を拭う必要がない。顔を洗うときも眼鏡を外して脇に置いて、それからおもむろに顔を洗う。こんな面倒なことからもおさらばである。これもそれもホットタオルの実践が効いているのか。気持ちがいいので、5分間のホットタオルを勧めたい。寝ながらやるので、足や腰のストレッチをしながらやっている。ストレッチしながらの5分間のホットタオル、これを勧めたい。
日本国の皆さんには言っておきたい。眼鏡を掛ければ、容姿が悪くなる。生活スタイル、住居の在り方、建物の建て方、すべてもっと広々とした造り方をやってみませんか。高層ビルは止めて、地平線が見えるようにしませんか。これから少子高齢化がますます進んでいく。ぎゅう詰めに建物を建てる必要はありません。天井はもっと高くし、リビングも今の標準の2倍にしましょう。ウサギ小屋と言われて恥ずかしくありませんか。広々としたマンション、個人住宅。国として目指すは眼鏡人口の減少である。そのためには、街の在り方、住居の在り方から見直す必要がありますよ。
Comments