長崎県長崎市の稲佐山からの夜景は、日本三大夜景の一つに数えられている。残り二つは、北海道函館市の函館山からの夜景、兵庫県神戸市の摩耶山掬星台(まやさん・きくせいだい:摩耶山の山頂近くにある展望広場)からの夜景であるが、筆者は、稲佐山からの夜景よりも、港からの夜景も捨てがたいと言いたい。
長崎には今から30年前に東京から赴任してきた。ある日の夕方、坂の上から夜景が見えたので、坂の下に降りて行って、ここが底だろうと思ったら、まだその眼下に夜景が見えてたまげてしまったことがある。長崎市の中心部は三方を山に囲まれてすり鉢状になっており、住宅地の多くは山の斜面を利用している。そのため「階段の街」「坂の街」として有名である。坂が多いため自転車に乗る人は少なく、学校の運動場はどこの学校も狭い。
このように、長崎市の町が山に囲まれてすり鉢状になり、建物の多くが斜面に建っているために、すり鉢の一番底の港から上を見上げると、まるで自分が舞台に立っていて、観客がホテル等の建物という塩梅になっている。真っ暗な舞台の中で、ただ一人、照明を浴びた俳優がいまこれから口上を述べようとしているそんな雰囲気が味わえるのだ。さらに面白い趣向は、その舞台に、躍り出ようとしている雰囲気が味わえるのが、長崎本線旧線(長与経由)の古びた電車の中である。このルートは、地元の人も、観光客も意図して乗らないとこの雰囲気は味わえない。一般の電車は、近道の別ルートを通る。このルートは、諫早から西諫早→喜々津→東園→大草→本川内→長与→高田→道の尾→西浦上→浦上→長崎に至るルートである。特に東園駅から大草駅に至るルートは、右側を海にして、弓状に、海岸すれすれに走っているために、海の眺めが素晴らしい。波静かな大村湾であるからできた鉄道ルートである。夕焼けは捨て難いというが、夜もお勧めである。電車の座席と座席の間の通路に立って先頭車両の方向を見ると、長崎市駅前の夜景が見え、まるで観客席だけが光り輝く、真っ暗な舞台に、今まさに、舞台袖からせりふを述べようと進み行く俳優の雰囲気が味わえるのだ。是非、長崎本線旧線に乗るよう勧める。桜が咲く季節も捨てがたい。30年前のJRのポスターは、海を背後に駅舎の脇の桜が咲く東園駅(又は大草駅)の写真を使っていたが、東園駅だったか、大草駅だったか、30年前のことゆえ、インターネット検索ではヒットしなかった。ご存知の読者はお教えいただければ幸いです。ポスターの写真が手に入れば有り難い。
なお、この東園駅から大草駅に至るルートは、今をときめく福山雅治の「道標」の歌詞のなかで、「私はこの海が好きです。この弓形に続く線路の あなたが育った海にくると後悔が軽くなる気がして」と歌われていることでも有名である。
角煮饅頭(まんじゅう)は長崎名物
長崎ちゃんぽんと言えば、長崎の友人達は、美味しいと思う行きつけの中華料理店に連れていくが、やはり、旅行雑誌に必ず出ている大浦天主堂近くにある「四海楼」は、抜きんでて美味しいと筆者は思う。長崎ちゃんぽん、皿うどん発祥の店であるが、観光客が行くところと心得、地元の人は行かないかもしれないが、野菜等の具が多く、一杯食べれば堪能する。5階建ての店で、一人でも予約なしで入れる。
角煮饅頭も、地元の人は長崎名物になっていることを知らない人が多いが、長崎空港に行けば、もちもちの白いパンに挟まれた、角煮饅頭がお土産として売られている。筆者は、平和公園近くの4階建ての建物の中華菜館 宝来軒 別館で食べて以来、この角煮饅頭(2個で1,000円)を人に勧めている。コラーゲンたっぷりの甘辛煮の豚の角煮を、もちもちの白いパンで挟んで食べるので、角煮単独で食べるよりも、ギトギトしていなくて食べやすい。是非賞味あれ。なお、長崎中華街に行っても扱っていない店もあるので、要注意。インターネット検索では、「角煮まん」の始まりは、長崎の「岩崎本舗」。グラバー園やアミュプラザ、西浜町に店舗を構えていると宣伝しているし、長崎中華本舗のホームページでは、「長崎の卓袱(しっぽく)料理ではぐくまれた伝統の味 角煮(東坡煮(とうばに)、コラーゲンたっぷりの豚の三枚肉を漢方の香辛料を加えた独自のスープでじっくり煮込みました。その角煮をオリジナルのふっくらとした生地で包みました。お口の中でトロ~リとろける当店自慢の逸品です。」と紹介している。
最後に、往復航空券は、東京(羽田)長崎で4万円前後である。乗ってわずか1時間半程度。着陸時は、海の中に落ちて行く感じのする長崎空港もスリルがあって良く、長崎観光を勧めたい。
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